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第3回夕刊フジ賞オーシャンS(JpnIII)
2008年3月8日(Sat) 中山芝1,200M 4歳以上オープン 別定 (国際)(指定)
馬名 性齢 斤量 騎手 タイム 着差 体重(増減) 人気
1   8 15 プレミアムボックス 牡5 56.0kg 吉田隼人 1.08.9 528kg(+2) 7
2   3 6 エムオーウイナー 牡7 56.0kg 熊沢重文 1.08.9 ハナ 516kg(0) 12
3 7 14 ナカヤマパラダイス 牡5 56.0kg 柴田善臣 1.08.9 クビ 492kg(-4) 6
4 3 5 アイルラヴァゲイン 牡6 57.0kg 松岡正海 1.09.0 3/4 522kg(+8) 3
5 1 1 リキサンファイター 牡4 56.0kg 蛯名正義 1.09.1 クビ 470kg(0) 4
※ レース結果は必ず主催者発表のものでご確認ください。

■各種レース指標 (天候:晴、馬場:良)
ハロンタイム 12.0 - 11.0 - 11.1 - 11.4 - 11.2 - 12.2
上がり 4F 45.9 - 3F 34.8
3コーナー 6(13,14)(5,7,15)(3,9)(1,16)(2,10)(8,11,12)4
4コーナー 6(13,14)(5,15)7(3,9,16)1(10,12)2(8,11,4)

■レース回顧 混戦乗じて福となす・外から届いたプレミアムボックス!
■レース解説

 サンアディユが大出遅れで最後方からの競馬。エムオーウイナーが先手を取る。コパノフウジン、アドマイヤホクトがこれに続く。内からアイルラヴァゲイン、外を通ってナカヤマパラダイスも前に取り付く。プレミアムボックスも外から押し上げていく。ドラゴンウェルズは馬群の中を追走。リキサンファイターは中団の内を進む。エムオーウイナーが僅かに先頭、外からナカヤマパラダイスとプレミアムボックスが押し上げながら直線に向く。エムオーウイナーが依然先頭、アドマイヤホクトとナカヤマパラダイスの競り合いに内からアイルラヴァゲインが加わり、2番手は横一線。坂に差し掛かったところでナカヤマパラダイスがエムオーウイナーに迫っていく。更にその外からプレミアムボックスが追い上げ、3頭が並んでゴール。


■レース回顧

 ハズレ。ゲート開くの遅いなぁ。………ああああqwせdrftgyふじこlp!!!\(^o^)/

 最後の馬がゲートに収まり、スタートするまでの僅かな間。いつものことだが緊張する。………。ん?遅いな。誰だ、ゲートの中で遊んでるのは?係員達がゲートの様子を探り始めた。どうやら犯人はサンアディユのようだ。首を下げてゲートを潜り抜けようとしている。係員達はゲートの下からサンアディユの体勢を整えさせてすぐにその場を離れた。

 しかし黒いジャンパーを羽織った担当厩務員はまだ不安そうにサンアディユを見ていた。すぐに係員がそれを引っ張ってコースの外へ手繰り寄せた。場内から失笑が。しかし次の瞬間、それが絶叫に変わった。「サンアディユ、大きく出遅れてしまいました!」。首を上げて浮き上がるようなスタート。出鞭を入れても全く挽回出来ない程の致命的な大出遅れ。うはっ、いきなり終わった。

 レースの主導権を握ると思われたサンアディユが消え、エムオーウイナーが労せずハナへ。コパノフウジン、アドマイヤホクトといった好位グループも楽な手応えでこれに付いていった。1,000M通過56秒7は馬場状態を考えれば普通。サンアディユを除く15頭が一団の競馬。後方からの干渉は殆ど無く、前残りが生じやすい環境が整っていた。

 エムオーウイナーは一貫して経済コースを通り、手応えを残したまま直線へ。これを追う2番手グループも脚色が良い。その中からナカヤマパラダイスが追い上げてくるのが見えた。エムオーウイナーとの一騎打ちか、と思ったら今度は外からピンクの帽子が。ドラゴンウェルズ?いや違う。プレミアムボックス?何、これ。人気馬総崩れで大波乱。3連単は150万を超えた。

 プレミアムボックスは外枠の劣勢を感じさせないスムーズな立ち回り。馬の行く気に任せて4コーナーを回り、混戦の2番手グループをゴール前で綺麗に交わしていった。勝ちパターンに入ったエムオーウイナーにもギリギリ届き、写真判定で勝利をもぎ取った。ただ前残りの伏兵をギリギリで捉えたというのが冷静な評価で、阪急杯組と比べると物足りなさを感じた。

 プレミアムボックスという例外がいたとはいえ、内を通った先行馬が粘るという見解は正しかった。エムオーウイナーはスプリンターズSでアストンマーチャンにけしかけていこうと努力していた馬で、結果はどうあれその姿勢を評価すべきだった。稽古駆けする馬なので直前気配の良さもそれほど気にしなかった。穴馬専用印の「☆」はこの馬とナカヤマパラダイスとの二者択一で迷ったのだが…。

 ナカヤマパラダイスは直線で小刻みに追い出して最後まで脚を持たせていた。しかし最後で一伸びを欠き、エムオーウイナーを捉え損ねた上に外からプレミアムボックスに来られて無念の3着。内枠に入っていればもっと楽な競馬が出来ていたはずで、この馬も勝ちに等しい競馬をした。一時期の不振からは立ち直っている。

 アイルラヴァゲインもエムオーウイナーと同じく、内枠先行の利を生かした先行策。しかしエムオーウイナーが内を締めていて上手く抜け出せず、前の様子を窺っている内にレースが終わってしまった。前走の大敗が一過性のものであったことが分かっただけでも収穫。追い切りの動きからしてまだ余裕があり、ここを使った意味はありそうだ。

 リキサンファイターは出来の良さで5着まで持ってきた感。この馬場で後ろから行くのは少しばかり無理があったようだ。同馬もアイルラヴァゲインと同じく、前の馬が壁になって突き抜けることが出来なかった。ちなみに今回はサンアディユの大出遅れがクローズアップされがちだが、リキサンファイターも微妙にタイミングが合っていなかった。

 ドラゴンウェルズは馬群に入れて折り合い重視で進んだ結果、前に遅れを取ってフェードアウト。今回はエムオーウイナーらのように進んで前に行ける馬でないと勝ち負けは難しかった。アドマイヤホクトは積極的に前につけながら失速したが、これは久々もあっただろう。むしろコパノフウジンの逆噴射はいただけない。結局のところ、前走はたまたま後ろにつけたのが嵌っただけらしい。

 サンアディユはレース翌日の正午過ぎ、馬房内で倒れてそのまま息を引き取った(死因は心不全)。あの出遅れで前を追いかけたのがストレスになったのだろうか。レースを遂行した内田騎手は悪くない。悪いのは一旦ゲートの外に出すなりの対応を取らなかったJRAだろう(※)。全てにおいて後味の悪いレースになってしまった。サンアディユの名前の由来…「さよならは言わないで」。泣ける。

(※)参考資料『JRAが大失態!出走態勢整わないまま発走…異例の謝罪会見』(サンスポ.com)


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