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第129回天皇賞・春(GI)
2004年5月2日(Sun) 京都芝3,200M 4歳以上オープン 定量 (牡・牝)(指定)
馬名 性齢 斤量 騎手 タイム 着差 体重(増減) 人気
1   3 6 イングランディーレ 牡5 58.0kg 横山典弘 3.18.4 518kg(-3) 10
2   8 16 ゼンノロブロイ 牡4 58.0kg D.オリヴァー 3.19.5 7 494kg(-8) 4
3   4 8 シルクフェイマス 牡5 58.0kg 四位洋文 3.19.8 1 3/4 482kg(+2) 5
4   5 9 チャクラ 牡4 58.0kg 後藤浩輝 3.19.9 1/2 460kg(-4) 9
5   1 2 ナリタセンチュリー 牡5 58.0kg 吉田稔 3.20.1 1 1/4 470kg(+2) 13
※ レース結果は必ず主催者発表のものでご確認ください。

■各種レース指標 (天候:曇、馬場:良)
ハロンタイム 13.2 - 12.0 - 12.0 - 12.0 - 12.7 - 12.3 - 12.1 - 13.5 - 12.8 - 12.4 - 12.7 - 12.4 - 12.2 - 11.6 - 12.1 - 12.4
上がり 4F 48.3 - 3F 36.1
1コーナー 6=18=(17,8)-16(1,13)(9,14)(3,7,15)(4,11)5-10,2,12
2コーナー 6=18-8-17-16(1,13)(9,14)(3,7,15)(4,11)5,10,2,12
3コーナー(2周目) 6=(18,8)(9,16,17)1(4,7,14,13)(3,15)11(2,5)10-12
4コーナー(2周目) 6=(18,8)(9,16)(4,7,17,1)(15,14,11)(3,2,13)5,10,12

■レース回顧 鼻歌交じりの大逃亡劇・伏兵イングランディーレ独走V!
■レース解説

 イングランディーレが押してハナを奪う。ヴィータローザ、アマノブレイブリーらが続いて1周目のスタンド前に入る。シルクフェイマス、ゼンノロブロイがこの直後を追走。ザッツザプレンティは内に控える。リンカーンは中団待機。ネオユニヴァースは馬群後方に構える。1コーナーを回るところでイングランディーレが後続を引き離しにかかる。2番手アマノブレイブリーとはおよそ10馬身。後方の順序は変わらず。向こう正面でイングランディーレのリードは20馬身ほどに拡大。単独で3コーナーの丘を越え坂の下りに入る。後方からはネオユニヴァースが外へ振って追い上げていく。イングランディーレは手応えを有したまま直線に向き、依然として大幅なリードを保ちつつスパート。好位につけたシルクフェイマスとゼンノロブロイが追いかけるも差は一向に埋まらない。イングランディーレがそのままなだれ込み圧勝。


■レース回顧

 大ハズレ。これは競馬じゃないよ。だって馬が競ってないもん。ヽ(´ー`)ノ

 当サイトの常連さんで、3年前の菊花賞でマイネルデスポットを軸にしていた方がいた。マイネルデスポットも今回のイングランディーレと同じような大逃げを打って僅差の2着に粘り込み、波乱を呼んだのはご存知の通り。レース後、「どうすればマイネルデスポットを軸に出来るのですか」という私の問いかけに、その方は次のような要点を挙げて解説してくれた(以下、原文より抜粋)。
  1. 有力馬が牽制しあう
    ―→有力馬に差し・追い込みが多い場合や、距離に不安がある場合、有力馬は自滅しあう。または飛びぬけた馬がいると有力馬は動くに動けない。[例]'00年日経賞グラスワンダー(6着)

  2. 逃げ馬が無視される
    ―→馬だけではなく、騎手も無視される存在がベスト。逃げ馬が楽をしている場合、他の騎手はそのことを十二分に承知しているが、恐さを感じなければ無視をする

  3. 馬場が良いか、悪い
    ―→高速馬場のように前が止まらない場合や馬場が悪くて追い込みが効かない時は逃げが決まりやすい。高速馬場よりも悪い馬場の方が逃げ馬はより楽。

  4. 距離が長い
    ―→距離が長いほど少ない労力で他の馬との差を広げることができる。先行有利はどの距離でも言えるが、短距離と長距離ではハナに立つまでの労力は桁違いである。

  5. 多頭数
    ―→頭数が増えれば増えるほど、逃げ馬以外には不利が生まれるし、逃げ馬への注意も怠るようになる
 十分過ぎる解説を頂き、大変参考になったことを覚えている。しかし今回もこの教訓を生かすことが出来なかった。競馬は記憶のゲームとはよく言ったものである。

 イングランディーレの手綱を取った横山典弘騎手は「道中は馬に話しかけ、気楽に歌いながら乗っていた」と振り返る。完全に無視され、後ろから何もやってこなければ鼻歌の一つや二つは自ずと出てくる。イングランディーレが云々という以前に他馬の駆け引きが全く見られなかったのは残念で仕方ない。

 リンカーンは1周目のスタンド通過時からそわそわして落ち着かず、1コーナーを回るところでは首を振って気乗りの悪いところをみせていた。「平成の盾男」の異名を持つ武豊騎手にしても手綱を抑えてなだめるのが精一杯。直線に向いてからはどこを走っているかすら分からなかった。展開を語るまでもなく、勝手に自滅したというのが正解。

 ネオユニヴァースは3コーナーを回ってようやく動き出したが時既に遅し。イングランディーレをナメていたのは紛れも無くデムーロ騎手だったように思う。イングランディーレの大逃げを見てもなお後方に構えたままだったのは自分が跨っているのは二冠馬という慢心があったからではないだろうか。

 ザッツザプレンティは綺麗に折り合っていたものの、シルクフェイマスらより後方という消極的な位置取りが気になった。その上イングランディーレの大逃げの影響でロングスパートをかける機を逸し、文字通り手も足も出ずの大惨敗。その他大勢と同じ追い出しではひとたまりもない。

 上位人気が壊滅した中にあって好走したように見えるゼンノロブロイ、シルクフェイマスにしてもイングランディーレから離されること1秒強。道中の位置取りのまま居座っただけでその他と大して変わらない。このようにイングランディーレを含めて全ての馬が競馬をしていないだけに、今後どのように繋がっていくかは何とも言い難い。

※表記ミスとお詫び
 レース展望で「ザッツザプレンティ、サンライズジェガー、チャクラ、ファストタテヤマ、ナムラサンクス、リンカーン、ゼンノロブロイの7頭にGI勝ちを評価したいネオユニヴァースを交えた8頭が圏内。」とした箇所において、イングランディーレが抜けていました。ここにお詫びいたします。


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