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第64回優駿牝馬(GI)
2003年5月25日(Sun) 東京芝2,400M 3歳オープン 定量 (牝)(指定)
馬名 性齢 斤量 騎手 タイム 着差 体重(増減) 人気
1 2 3 スティルインラブ 牝3 55.0kg 幸英明 2.27.5 442kg(0) 2
2   8 17 チューニー 牝3 55.0kg 後藤浩輝 2.27.7 1 1/4 438kg(+2) 13
3   7 14 トーセンリリー 牝3 55.0kg 佐藤哲三 2.27.9 1 1/4 434kg(0) 9
4   6 12 ヤマカツリリー 牝3 55.0kg 安藤勝己 2.27.9 ハナ 462kg(+4) 7
5   3 5 センターアンジェロ 牝3 55.0kg 石崎隆之 2.27.9 クビ 434kg(-2) 11
※ レース結果は必ず主催者発表のものでご確認ください。

■各種レース指標 (天候:晴、馬場:良)
ハロンタイム 12.6 - 11.1 - 12.3 - 12.6 - 12.6 - 12.7 - 13.1 - 13.4 - 12.7 - 11.5 - 11.1 - 11.8
上がり 4F 47.1 - 3F 34.4
1コーナー 9-(6,16)7,12(10,17)11-3(1,4,15)(2,5,14,13)8
2コーナー 9,16(6,12)7-17-(10,11)(3,15)1(5,4,13)(2,14)8
3コーナー 9(6,16)12(7,17)(10,15)(1,11,3)(5,4,13)(8,2)14
4コーナー 9,16(6,12)17(7,1,15)(10,5,11,3)(8,14,4,13)2

■レース回顧 ベガ以来10年振りの牝馬二冠・洗練された走りスティルインラブ!
■レース解説

 アドマイヤグルーヴが出遅れて最後方からの競馬を余儀なくされる。トーセンリリーが楽な手応えで先頭へ。2馬身置いてチアズメッセージ、タイムウィルテルと続く。真ん中で馬群が切れてチューニー、オースミハルカ、トーセンリリー辺りが中団待機。スティルインラブはその直後。淡々とした流れのまま3コーナーを通過。大欅に差し掛かる辺りで馬群が固まり始めて直線に向く。トーセンリリー、タイムウィルテル、チアズメッセージが早々とスパートをかけるがこれらの直後にいたヤマカツリリーがこれを捉える。暫く競り合いが続き、チューニーが僅かに抜け出る。そこへ坂を駆け上がってきたスティルインラブが一瞬にしてこれらを交わし先頭に躍り出る。なお内で食い下がるチューニーを楽に退けゴール。


■レース回顧

 ハズレ。最近の重賞はちょっと捻らないと勝てないようです。(-_-)ウムム…

 馬場入り後、徐々にテンションが上がるアドマイヤグルーヴ。ゲート入りを直前までずらしてもイラつきが収まらない。少し嫌ってからゲートに入ったものの、ゲートの中でもモゾモゾと落ち着かない。そして後ろに引いた瞬間にゲートオープン。他の17頭の綺麗なスタートとは対照的な出遅れ。距離が長いのでまあいいかと思ったが、その考えも1コーナーを回るまでに早くもかき消された。

 首を上下に振り、口をパカパカ開いて、横を向いてともう滅茶苦茶。こんな状態で勝てるはずが無い。実力は素質とそれを生かす気性があってはじめて発揮される。同厩のアイシースズカが出走を取り消した際、橋口師が「アドマイヤグルーヴにとっても、仲の良いこの馬と一緒に輸送したほうが落ち着くと思っていただけに影響が気になります」とコメントしたのも今更ながら頷ける。

 勝ったスティルインラブはこの馬にしては後方よりからの競馬を選択。内で繰り広げられる熾烈な争いを外から一気に突き刺した。上がりの脚はシンコールビーと同じ上がり最速タイとなる33秒5。幸騎手も前日7鞍、当日もオークス直前まで3鞍乗っていたことで拍子抜けするほどソツなく乗っていた。抜け出てからは半ば流すような感じでフィニッシュ。

 後方で脚を溜めれば面白いと思われたタイムウィルテルは15着と大敗。ここ暫く中団からレースを進めていたこともあってか、今回も積極的な位置取りを実践。しかし後続馬が一気に押し寄せてきたあたりからズルズル後退。理想としていたレースを他馬に実演されてはどうしようもない。実績だけで抑えた2歳女王ピースオブワールドは大外から追い込むも一向に伸びず13着。こればかりは致し方ない。

 今年も波乱となったが、その立役者となったのがチューニー。桜花賞12着からの巻き返しだった。桜花賞で馬体重を大きく減らしていたことから逆転まではどうかと思っていたが、それから2kg増できっちり立て直してきた。オークスは桜花賞から直行した馬が優勢だが、これはオークスまで1ヶ月以上の間隔があるという要因が大きく作用しているように思う。

 今年もスイートピーS経由馬が穴人気を集めて圏外に消えた。スイートピーS経由馬が一向に来ないことの要因として展望上では「重賞出走経験の無さ」を取り上げたが、そうではなく「ローテーションとの兼ね合い」が挙げられるような気がする。今年を含めた過去10年において中2週以内の強行ローテで挑んだ馬は延べ47頭いるが、連対したのは'94年2着ゴールデンジャックしかいない。すなわち「スイートピーS経由馬は要らない」のではなく、「前走から中2週以内の馬は要らない」のである。オークスまで中2週というきつい間隔が解消されない限り、スイートピーS経由馬は今後も一切要らないだろう。


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